[読書レビュー] 「松岡まどか、起業します AIスタートアップ戦記」は2025年のAIエージェントの普及を描いている

AI

はじめに

2024年の年の瀬にシュッと読んだ本がなかなか面白く、テーマも生成AIと皆さんのお仕事にも少し役立ちそうな気がしたので、せっかくなのでブログで共有します。

概要

この小説は新卒で生成AIスタートアップを立ち上げるSF小説です。

日本有数の大企業・リクディード社のインターン生だった女子大生の松岡まどかはある日突然、内定の取り消しを言い渡される。さらに邪悪な起業スカウトに騙されて、1年以内に時価総額10億円の会社をスタートアップで作れなければ、自身が多額の借金を背負うことに。万策尽きたかに思われたが、リクディード社で彼女の教育役だった三戸部歩が松岡へ協力を申し出る。実は松岡にはAI技術の稀有な才能があり、三戸部はその才覚が業界を変革することに賭けたのだった――たったふたりから幕を開ける、AIスタートアップお仕事小説!

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読みどころ(1) スタートアップ起業の臨場感が味わえる

この小説の一番の読みどころは、「スタートアップ企業の臨場感が味わえること」です。

「サービスを考えて、プロトタイピングして、資金調達して、うまくいかなくてピボットして、ピボット前のサービスを開発していたエンジニアと揉めて、資金が底をつきそうで絶望しつつも死ぬ気で頑張って、、」といった具合で短い期間で目まぐるしく状況が変化します。

私はスタートアップ起業したことはありませんが、サービスを立ち上げる大変さや人間ドラマがリアルに伝わってきて、とても面白いです。

読みどころ(2) 数年後の生成AIエージェントへの期待感が膨らむ

他に読みどころがあるポイントは、「数年先の生成AIが進化した未来を感じられること」です。

この小説の主人公は、自分で生成AIをトレーニング&チューニングして、自分好みのAIエージェントを複数体所持しています。

そのAIエージェントに声をかけて、「プログラムを書かせたり」「メルカリの値引き交渉をさせたり」「ウーバーイーツを頼んでもらったり」「悩みを聞いてもらったり」と絶妙に現時点の生成AIでできそうなことをして暮らしています。

また、これらの生成AIのエージェント同士で議論させることで単体での性能が低いAIのアウトプットの質を向上させたりといったこともしています。

ちなみにこの考え方はマルチエージェントというもので、「今後の生成AIのトレンドの一つになりそうだ」とサムアルトマンも言ってるそうです。

以下の書籍でマルチエージェントAIを使ったプロダクトについて詳しく解説されており、実際にマルチエージェント的なアプローチで会社組織を作って複数のAIエージェントに様々な役割を振ってタスクを実行させる例などが紹介されているので、読んでみてください。

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おわりに

久しぶりに自分に刺さる面白い小説に出会った気がしました。

自分は大学院の研究で「中央銀行デジタル通貨の決済アルゴリズムの開発」と「マルチエージェントシミュレーションによる評価」をしていたので、「ついに精度の高いAIエージェントでマルチエージェントできる未来が到来したか、、」と胸が高鳴りました。

この本を読んだ後に「仕事に対するモチベ」や「AIに対する知識欲」も高まったので、皆さんもぜひ読んでみてください。

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